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佐保路の三観音めぐり

今回の奈良行きは正倉院展が目的でしたが、正倉院展開催時期にあわせて特別公開する仏像の中から今回は法華寺の十一面観音を拝観してこようと思っていました。さて法華寺とあとはどこを訪れましょう。

近鉄奈良駅の案内所で見つけたのは「佐保路の三観音特別公開」のちらし。↓↓
2日目はこの三観音を廻って歩くことにしました。
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佐保路の三観音めぐり_c0039428_1220179.jpg不退寺は、平安京から平城宮に都を戻すことを考え、薬子の乱に関与した平城上皇が御所を置いたところ。
山門のむこう、萩の叢の向こうに本堂が見えます。
本尊の聖観音は孫の在原業平の作と伝えられています。頭には大きくリボン(?)を巻いた独特のお姿。おおらかな雰囲気の聖観音です。


佐保路の三観音めぐり_c0039428_12184729.jpg山門を出て、バス通りには戻らずに右へ
畠の中の道を歩き佐紀古墳群のひとつのウワナベ古墳へ
外堀には鴨の群れが浮かんでいました。


佐保路の三観音めぐり_c0039428_12202342.jpg海竜王寺は、平城京ができる前から存在した寺院らしく、飛鳥時代の瓦が出土しているそうです。
大きな寺だったようですが、その後荒廃し、今は山門の中に本堂と西金堂を残すのみ。戦後になってやっと整備されたのだそうです。

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十一面観音は荒廃したお堂の中で守られてきたのでしょうか。昭和28年まで秘仏だったそうで、彩色が美しく残っています。
写真右が本堂。左は西金堂。

佐保路の三観音めぐり_c0039428_12233970.jpg西金堂は小さなお堂ですが、内部には高さ4メートルの精巧なミニチュアのような五重塔が納められています。なんとなく写真だけを
撮ってきたのですが、実はこの塔は天平時代に作られた国宝。この寺の本来の西塔として作られたもの。西金堂は、この塔を守るための鞘堂なのだそうです。


法華寺は藤原不比等の邸宅跡に建てられた寺院。今では住宅に囲まれていますが、もともとは平城宮の東側に隣接した場所です。

法華寺の十一面観音は思ったより小ぶり
おおらかでふくよかでしかもきりっとした美しさ
光明皇后のお姿を映したものということですが、正倉院展で見た皇后の墨跡の凛々しさと通じます。
佐保路の三観音めぐり_c0039428_12262393.jpg本堂左側に、菩提樹の木。
西洋菩提樹の亜種だそうです。

佐保路の三観音めぐり_c0039428_12264795.jpgお寺の方が、実を配っていました。高いところから落とすと、くるくるとヘリコピターのように地面に落ちていきました。

佐保路の三観音めぐり_c0039428_12305787.jpg佐保路を歩いている人は少なく奈良公園の賑やかさとは好対照です。
女性の一人旅やシニアの夫婦が多いのですが、リタイア・エイジの男性のグループも見かけました。薀蓄を傾けながら楽しそうでした。でも、男性客は少ないですねえ・・・。

西大寺駅にもどろうとバス停の時刻表を見ると週末なのでバスは一時間に一本しかありません。しかもバスは出たばかり。
車の通りの多いところまで出て、運よく通りがかったタクシーを捕まえました。バス停で待っていた一人旅の女性を誘い、車中で秋篠寺まで行ってもらうことを決めました。佐保路あたりは、バスの便が少なくて、その意味では歩きづらい地域です。
佐保路の三観音めぐり_c0039428_12282839.jpg秋篠寺の境内は苔むした木立がきれいです。手間をかけて保持されているようです。
本堂は、素朴ながらどっしりとした奈良時代の建物。
首をかしげた姿の伎芸天立像。頭部のみが天平時代のもの。

西大寺駅までは歩いて20分ほど。
静かに楽しんだ散歩でした。
by small-small-world | 2009-10-29 22:20 |   秋の奈良路2009 | Comments(0)
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