人気ブログランキング | 話題のタグを見る

金沢・能登の旅(1)

3日間乗り放題の大人の休日倶楽部パスを使って金沢へ行ってきました。
特急はくたかの車内にはシニア夫婦が目立ち、金沢駅の改札口を出ると、御陣乗太鼓がにぎやかにお出迎え。ちょっとしたお祭り気分です。
大人の休日倶楽部パスをきっかけに旅行するのは私たちだけではないようです。

金沢&能登を旅するのは学生時代以来です。
あまりに久しぶりなので、初めて行くのと変わりません。
真夏に訪れたので、金沢で思い出されるのは兼六園の茶店でかき氷を食べたことぐらいです。012.gif

金沢・能登の旅(1)_c0039428_10525979.jpg
いわゆるガイドブックを見ただけでは金沢の歴史はよくわからないので事前に入手して読んだのはこの本(⇒⇒☆☆

歴史教科書の出版社である山川出版社の本ですから執筆者は地元石川県の高校の先生たち。

執筆のねらいに、「観光名所として周知のものより庶民の暮らしに根をおろして史跡の再評価をすること、見逃されがちな近現代の史跡も取り上げたい、思い切った発想の転換を試みたい云々」とあります。

小型本ではありますが、史跡紹介の形で石川県の歴史を重層的に読むことができます。
執筆者たちの誠意と意気込みを垣間見ることのできる本でした。

この本から一つの視点を与えられたことは事実です。

金沢といえば百万石。
町中いたるところに百万石という言葉があふれています。
本の中に「百万石意識」というコラムがあります。

加賀藩では支配する側の武士でさえ百万石の犠牲者であった。
小藩にあれば一国を動かしたかもしれない人材が、重臣の圧力のもと軽輩としての忍従を強いられている。
(中略)藩閥へのゆがんだ対抗意識が温床になって、今も筋違いの百万石意識が生きている。
城下町の風物に酔うのはただのノスタルジア、そこに』生きる人たちの意識構造をかぎとるのが本当の歴史散歩であろう。


金沢はさすが百万石の城下町
ゆったりと落ち着いた懐の深さを感じさせる雰囲気の街です。
でも、百万石と自負した大藩が、幕末維新期に口惜しさをかみ締めたのではないかと感じる場面が数日の滞在でも見えたような気がします。
観光写真などで有名な長町武家屋敷
金沢・能登の旅(1)_c0039428_179373.jpg

用水に沿って野村家住宅、老舗記念館、足軽資料館などが点在し、立派な門が立ち並ぶ一画はなかなか風情があります。

でも、古い建物は他所からの移築。
立派な野村家住宅は北前船で財をなした豪商の屋敷です。
オリジナルは、いくつかの長屋門だけだそうです。
金沢・能登の旅(1)_c0039428_1711322.jpg

明治維新後、金沢市内は空き家が目立つようになり、長町あたりの武家屋敷も取り壊され、分割して宅地になったり、田畑になったそうです。

明治7年には長町近辺には5400坪という広大な金沢製糸会社が設立され、士族の子女を女工として操業を始めたそうですが、5年後には廃業したそうです。
維新期の金沢の大変さがしのばれます・
金沢・能登の旅(1)_c0039428_17125242.jpg

香林坊のビル16階からの金沢城、兼六園あたり
滞在中ずっと梅雨もようでした。
by small-small-world | 2010-07-08 17:14 | 金沢・能登の旅 2010 | Comments(0)
<< 食の楽しみ~金沢・能登の旅(2) 黒島~沖縄・八重山の旅(6) >>