今回の旅のテーマは「藤沢周平の原風景」などと洒落こんだものの実は私自身はこれまでに数冊を読んだだけ。
だいぶ前に「たぶん気に入るから読んでみて」とすすめられたことを思い出しますが、時代小説にはあまり関心が持てず手をつけませんでした。 実際に読み始めたのは、映画「たそがれ清兵衛」を見てからだったと思います。 そういう意味では原風景などといえる柄ではないのですが、今後藤沢周平の作品を読みすすめていくときに今回の旅で感じ取ったことをゆっくりと反芻していくことになるのでしょう。 今回は車での移動だったので広範囲に動けました。 藤沢周平の生れたのは鶴岡市郊外の高坂という村 市内から車で10分ほどのところです。 村に入ると「藤沢周平生誕地」の道案内の札があり、それに導かれていくと、すでに空き地になっている生家の跡地に「藤沢周平生誕之地」と彫られた大きな石碑が建っていました。 藤沢周平はシャイな人柄だったそうですから、まさか自分の生家跡にこんな大きな碑が建つとは思ってもみなかったことでしょう。 「ここまで来るなんてなんて酔狂な・・・」などと語り合いながら記念写真を一枚。 高坂の集落は金峰山のふもと。 土手を登ると青い田のはるか遠くに月山を美しく望むことができます。 彼の代表作である「蝉しぐれ」では、風景の描写の巧みさが印象的です。 ことに印象的なのは「光」の描写です。 藤沢周平は20代の半ばに結核を病み、何年にもわたっての療養を余儀なくされたそうですが、若き日に自然と向き合い、自然を観照してきたこと それが彼の作品の風景描写につながっているのでしょう。 映画「蝉しぐれ」のロケーション用に作られたセットが松が岡開墾場の近くに残され、近作「山桜」のロケーションにも使われたそうです。 海坂藩の組屋敷の光景を思い浮かべることができます。 これから藤沢周平を読むときには、月山を仰ぐ鶴岡の地を想起しながら読むことでしょう。
by small-small-world
| 2008-05-21 13:34
| 庄内の旅
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