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当尾を歩く

高校の修学旅行で訪れた浄瑠璃寺
もう一度訪れてみたいと思いつつ、京都府の南端にあり、交通の便が悪そうなので、時間的に難しいのかと思っていました。
今回一泊で正倉院展を訪れるので2泊目に訪れられないかとPCで検索したところ、なんと近鉄奈良駅からバスが出ているではありませんか。

朝9時10分発の浄瑠璃寺行のバスはほぼ満員。
平日のせいか乗客の平均年齢は70歳越え?

浄瑠璃寺でバスを乗り換え、コミュニティバスで岩船寺へ。
バスは山道をとおり、ひなびた山里へ。
山里ではあるけれど、立派な農家が立ち並ぶ集落。

この辺り、現在では山里だがかつては奈良盆地の奥山、
聖武天皇が5年間にわたり都とした恭仁京もそれほど遠くはありません。

集落の奥、石段を上ると岩船寺
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天平時代建立の緑に囲まれた静かな寺。本尊は平安時代のもの
木立の奥の小高い所には室町時代の三重塔
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山門の横てにひっそりある石仏も鎌倉時代の重要文化
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さて岩船寺からは山道を浄瑠璃寺へ。
あとさきになって歩いているシニア3人連れは奈良市内から。
よく3人で散歩をする仲だとか。浄瑠璃寺までのバス代もただだとか。
「まあ、そんな遠くからわざわざ?」
感心されてしまいました。
近くに住んでいるとそんなものなのでしょうね。

山道の途中の山肌に大きな花崗岩
その岩肌に刻まれた鎌倉時代の摩崖仏

山林に庵を結び、コツコツと彫り刻んだものなのでしょうか。

  のみ跡に石工の祈り蔦紅葉

岩陰の湧水の上に彫られた一願不動
願いを一つだけ一心に祈ればかなうといわれているとか
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ひなたにある巨岩に彫られた「わらい仏」なんともいえぬ柔らかな笑顔が魅力的
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阿弥陀地蔵摩崖仏
それぞれに鮮やかな黄色のフォックスフェイスが手向けられています。
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藪の中三仏摩崖仏
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石仏をたどりながら歩いているうちに浄瑠璃寺に到着
細い参道
小ぶりな山門
魅力的なエントランスを抜けると浄土世界が一挙に開けます。
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まずは此岸。
小高い場所にある三重塔へ。
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此岸からは池を隔てて彼岸の本堂が望めます。池には空と本堂が映り込んでいます。
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本堂には九体の阿弥陀仏
世田谷区の浄真寺(九品仏)の阿弥陀仏と比べると小ぶり。
堂内にずらりと並ばれているお姿に気持ちが引き締まります。

特別に御開帳されている吉祥天女像
厨子の中にまつられているせいか赤い彩色の衣には細かい截金でデザインが施されています。
完成時には、さぞ華やかだったことでしょう。

昼食は門前の「あ志び乃」で。
先日、BSで五木寛之の「百寺巡礼」で「浄瑠璃寺」の再放送をしていたのですが、その中でも紹介されていました。再放送するにあたって、またTV局が取材に訪れたのだそうです。
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本当に浄瑠璃世界に迷い込んでしまったかのような一日でした。




by small-small-world | 2016-12-08 21:40 | 秋の奈良2016 | Comments(0)
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